2019年3月21日木曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.63 発行 「Promising biomarker for vascular disease relapse revealed」

岡山大学は2月27日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果を英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.63を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の渡辺晴樹助教と佐田憲映准教授らの血液検査でANCA ※1血管炎の再発を予測可能にさせる研究成果について紹介しています。

渡辺助教と佐田准教授らは、ANCA関連血管炎の予後改善において、好中球の細胞質に含まれる酵素タンパク質ミエロペルオキダーゼ(myeloperoxidase;MPO)に対する自己抗体MPO-ANCAを測定することの重要性を明らかにしました。MPO-ANCAは医療機関において血液検査で測定でき、今回の研究ではANCA関連血管炎の経過中にMPO-ANCAが陽性になる患者は、陰性のままの患者に比べて約26倍、病気の再発が多いことが明らかになりました。今回の研究成果は、MPO-ANCAの定期的な測定によって、血管炎の再発を予測し患者の生命予後や生活の質の改善に繋がる可能性を明らかにしました。今後、ANCAを指標にした治療など、新たな治療法開発への展開・確立が期待されます。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある医療分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

※1 ANCA
antineutrophil cytoplasmic antibodies(抗好中球細胞質抗体)のこと。細菌などから身を守る好中球を標的とする異常免疫物質で、全身に張り巡らされた細い血管を傷害し、ANCA関連血管炎という自己免疫病を引き起こすと考えられています。


Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.63:
Promising biomarker for vascular disease relapse revealed


<Back Issues:Vol.55~Vol.62>
Vol.55:
Diabetic kidney disease: new biomarkers improve the prediction of the renal prognosis (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 和田淳教授、三瀬広記医員)
Vol.56:
New device for assisting accurate hemodialysis catheter placement (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 大原利章助教)
Vol.57:
Possible link between excess chewing muscle activity and dental disease (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)皆木省吾教授、加藤聖也医員)
Vol.58:
Insights Into Mechanisms Governing the Resistance to the Anti-Cancer Medication Cetuximab (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)
Vol.59:
Role of commensal flora in periodontal immune response investigated (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、福原大樹医員)
Vol.60:
Role of commensal microbiota in bone remodeling (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、内田瑶子歯科医師)
Vol.61:
Mechanical stress affects normal bone development (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)池亀美華准教授)
Vol.62:
3D tissue model offers insights into treating pancreatic cancer (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp



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