<発表のポイント>
-
タンパク質リン酸化酵素は細胞内の情報伝達機構を制御する酵素として、がんをはじめとするさまざまな疾患に関与しており、これを標的とした多くの阻害剤が米国食品医薬品局にて治療薬として認可されています。
-
既存のリン酸化酵素阻害剤を利用することで、新たなリン酸化酵素Adaptor Protein 2-Associated Kinase 1(AAK1)に対する選択的阻害剤の開発に成功しました。
-
リン酸化酵素阻害剤に相互作用する酵素同定から始まる新たな阻害剤開発法は、タンパク質リン酸化酵素を分子標的とした迅速な創薬サイクルへの応用が期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の德光浩教授の研究グループと学術研究院教育学域の石川彰彦教授の研究グループは、学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授、自然生命科学研究支援センターの砂月幸成准教授、スウエーデンのルンド大学のUlf
J.
Nilsson教授との国際共同研究により、機能プロテオミクス、有機合成化学、生化学、細胞生物学、分子ドッキングシミュレーションを用いることで、既存のタンパク質リン酸化酵素阻害剤からリン酸化酵素AAK1
に対する新たな選択的阻害剤の開発に成功しました。
本研究成果は、AAK1が関連すると考えられる神経障害性疼痛やさまざまなウイルス感染に対する治療薬への応用の可能性だけではなく、このリン酸化酵素阻害剤開発法が、多くの費用と時間を要する創薬開発において有用な手法となることが期待されます。
本研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に、2024年3月20日付でオンラインにて掲載されました。
本件は、2024年4月24日に岡山大学から公開されました。
◆研究者らからひとこと
有機合成化学、酵素学、細胞生物学からコンピュータシミュレーションまで、さまざまな研究・解析手法と専門分野の国内外の研究者および大学院生が集まって成し遂げたMultidisciplinaryな研究成果です。とてもエキサイティングな時間でした。この研究により、創薬開発を加速させることができることを期待しています。
◆論文情報
論 文 名:Development of a novel AAK1 inhibitor via Kinobeads-based screening
掲 載 紙:Scientific Reports
著
者:Akari Yoshida, Satomi Ohtsuka, Fumiya Matsumoto, Tomoyuki Miyagawa,
Rei Okino,Yumeya Ikeda, Natsume Tada, Akira Gotoh, Masaki Magari, Naoya
Hatano, Ryo Morishita, Ayano Satoh, Yukinari Sunatsuki, Ulf J. Nilsson,
Teruhiko Ishikawa, Hiroshi Tokumitsu
D O I:10.1038/s41598-024-57051-9
U R L:https://www.nature.com/articles/s41598-024-57051-9
◆研究資金
本研究は、科学研究費補助金(JP21H02429)および公益財団法人山陽放送学術文化・スポーツ振興財団学術研究助成の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
さまざまな神経学的障害に関与するAAK1に対する阻害剤の開発に成功!~既存の阻害剤を用いた手法により、迅速な創薬サイクルへの応用が期待~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240424-9.pdf
◆参 考
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科 細胞機能設計学分野
https://www.okayama-u.ac.jp/user/saibou/
・岡山大学大学院教育学研究科 自然教育学系 理科教育講座
https://edu.okayama-u.ac.jp/~rika/sci-home/people.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域 バイオ・創薬部門 教授 德光 浩
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:086-251-8197
FAX:086-251-8197
https://www.okayama-u.ac.jp/user/saibou/
岡山大学 学術研究院 教育学域 教授 石川彰彦
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:086-251-7639
FAX:086-251-7639
https://edu.okayama-u.ac.jp/~rika/sci-home/people.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002079.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
-
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002191.000072793.html
0 件のコメント:
コメントを投稿