2018年12月18日火曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.59 発行

岡山大学は11月26日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.59を発行しました

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)予防歯科学分野の森田学教授と福原大樹医員らの常在菌の有無で歯肉での免疫応答が異なることを発見した研究成果について紹介しています。

森田教授と福原医員らは、アメリカ・Department of Microbiology and Immunology, Columbia University Medical Centerの入江浩一郎研究員、本学大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)インプラント再生補綴学分野の秋山謙太郎講師朝日大学社会口腔保健学分野の友藤孝明教授らの研究グループとともに、歯周病の病原因子の一つであるリポポリサッカライド(LPS、歯周病原細菌などがもつ毒素の一種)に対して、常在菌の有無により歯肉での免疫応答が異なることを発見しました。

常在菌を保有するマウスと比較して、無菌マウスでは、歯肉へLPSを塗布した時に免疫細胞(CD4+T細胞)や炎症に関連する因子(TNF-α)の発現が低下しました。

常在菌は適切な免疫系の成熟に関与します。今回、LPSのような歯周病原因子に対する免疫応答の一端を明らかにしたことで、常在菌が担う新たな役割が明らかになりました。

本研究成果は将来の免疫応答の制御による歯周病の予防・治療に貢献することが期待されるとともに、人間と細菌がともに生きることの意味の解明につながるかもしれません。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある医療分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。


Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.59:
Role of commensal flora in periodontal immune response investigated

<Back Issues:Vol.51~Vol.58>
Vol.51:
Potential of 3D nanoenvironments for experimental cancer (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)
Vol.52:
A protein found on the surface of cells plays an integral role in tumor growth and sustenance (大学院保健学研究科 廣畑聡教授)
Vol.53:
Successful implantation and testing of retinal prosthesis in monkey eyes with retinal degeneration (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.54:
Measuring ion concentration in solutions for clinical and environmental research (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.55:
Diabetic kidney disease: new biomarkers improve the prediction of the renal prognosis (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 和田淳教授、三瀬広記医員)
Vol.56:
New device for assisting accurate hemodialysis catheter placement (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 大原利章助教)
Vol.57:
Possible link between excess chewing muscle activity and dental disease (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)皆木省吾教授、加藤聖也医員)
Vol.58:
Insights Into Mechanisms Governing the Resistance to the Anti-Cancer Medication Cetuximab (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)


<参考>
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8153.html

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