2017年10月2日月曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.44 発行

岡山大学は10月2日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.44を発行しました。

2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、中性子医療研究センターの小野俊朗教授と花房直志准教授らの、ラベンダーやパクチーに含まれる精油成分に放射線防護効果がある研究成果について紹介しています。

小野教授らの研究グループは、精油成分の中で代表的な3 種類のモノテルペノイド(チモール、リナロール、メントール)について放射線防護効果を調べ、リナロールに放射線防護効果があることを明らかにしました。500マイクロモルのリナロール処理を施したマウスリンパ腫細胞へ、致死的である5グレイのX線を照射した場合でも、細胞の生存には影響を及ぼさないことが判明しました。さらに、放射線による細胞損傷の第一標的である核DNAの損傷もリナロールの抗酸化作用により、ほぼ完全に防護されることも解明しました。

リナロールはラベンダーの主成分であり、香料として広く日用品に使用されています。また香味野菜として親しまれているパクチーにも含まれており、ヒトに安全な化合物であることが大きな特徴です。今後、精油成分を用いた安全な放射線防護剤の開発と利用が進展することが期待されます。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.44:Protection from plant extracts


<Back Issues:Vol.37~Vol.43>
Vol.37:Protein dosage compensation mechanism unraveled (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.38:Bioengineered tooth restoration in a large mammal (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.39:Successful test of retinal prosthesis implanted in rats (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.40:Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
Vol.41:Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.42:Potential drug for treating chronic pain with few side effects (自然生命科学研究支援センター 宮地孝明准教授)
Vol.43:Potential origin of cancer-associated cells revealed (大学院自然科学研究科(工学系) 妹尾昌治教授)


<参考>
Okayama University e-Bulletin//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/




本号で紹介した研究成果を担当した小野俊朗教授と花房直志准教授(右)

国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています
 

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