<発表のポイント>
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反復性膀胱炎を発症した閉経後女性の尿中および膣内の大腸菌を解析し比較したところ、大腸菌の遺伝子と抗菌薬への感受性は、それぞれ患者ごとに同一であることを確認しました。
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反復性膀胱炎では、尿中だけでなく膣内の大腸菌を標的とした管理が不可欠であることが示唆されました。
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抗菌薬を用いない、新しい反復性膀胱炎の予防法・治療法としての「乳酸菌腟坐剤」の実用化に向け、引き続き研究を進めていきます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学病院泌尿器科の関戸崇了医員・定平卓也助教(感染症グループ主任)、学術研究院医歯薬学域(医)の荒木元朗教授、群馬大学大学院医学系研究科細菌学講座の平川秀忠准教授の共同研究グループは、反復性膀胱炎を有する閉経後女性の尿中および膣内の大腸菌について、遺伝子型と抗菌薬への感受性が一致していることを突き止めました。
これらの研究成果は2024年5月31日、日本化学療法学会・日本感染症学会・日本環境感染学会の三学会の学術雑誌「Journal of Infection and Chemotherapy」に掲載されました。
閉経後の女性では、ホルモンバランスの影響で腟内の乳酸菌が減少し細菌叢が変化すると、膀胱炎の原因となる大腸菌が腟から膀胱に移行し、腟内に大腸菌が定着し膀胱炎が治りにくくなるといわれています。
今回、患者ごとの尿中と腟内の大腸菌を詳しく研究することで、尿中と腟内の大腸菌が、遺伝子や抗菌薬感受性の観点から同一であることを確認しました。反復性膀胱炎の適切な管理には、尿中だけでなく膣内に定着した大腸菌を標的とすることが重要であることが分かりました。
近年、抗菌薬の使用による耐性菌の出現が問題となっており、抗菌薬を用いない反復性膀胱炎の管理が求められています。岡山大学病院泌尿器科は以前より、新しい反復性膀胱炎の予防法・治療法として乳酸菌腟坐剤の研究を行っており、その実用化の必要性を改めて強調する研究結果でした。実用化に向け引き続き研究を進める予定です。
◆研究者らからひとこと
なかなか治らない反復性膀胱炎では、腟内に留まる大腸菌が尿路と密接に関わり、膀胱炎を引き起こすと考えております。大腸菌に着目した今回の研究により、尿のみでなく腟を考慮した予防や治療が反復性膀胱炎では必要であると、改めて分かりました。
以前より我々は、抗菌薬に頼らない新たな予防法として、乳酸菌腟坐剤の実用化を目指し研究しております。早く皆様のお役に立てるよう、これからも研究を続けていきます。
◆論文情報
論
文 名:Homology of Escherichia coli isolated from urine and vagina and
their antimicrobial susceptibility in postmenopausal women with
recurrent cystitis
邦 題 名「閉経後女性の反復性膀胱炎における尿中および膣内大腸菌の相同性と抗菌薬感受性」
掲 載 紙:Journal of Infection and Chemotherapy
著 者:Takanori Sekito, Takuya Sadahira, Hidetada Hirakawa, Ayano Ishii, Koichiro Wada, Motoo Araki
D O I:https://doi.org/10.1016/j.jiac.2024.05.015
U R L:https://www.jiac-j.com/article/S1341-321X(24)00147-8/abstract
◆研究資金
本研究は、以下の支援を受けて実施しました。
・日本学術振興会 科学研究費(JP17K11183, JP20K18117)
・公益社団法人日本化学療法学会 上原感染症・化学療法研究奨励賞
◆詳しい研究内容について
繰り返す膀胱炎の原因は膣に定着した大腸菌が原因~腟をターゲットとした新規予防法の重要性~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240619-1.pdf
◆参 考
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院泌尿器科
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index127.html
・ 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学
https://www.uro.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・【岡山大学】反復性膀胱炎の病態を、膣の細菌叢を解析し解明!~乳酸菌膣坐剤は抗菌薬の代わりになるか~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001452.000072793.html
・【岡山大学】OTバルーンカテーテル®の目詰まり特性評価 ~行動制限の少ない排尿管理の実現を目指して~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002257.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学病院 泌尿器科 助教 定平卓也
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7287
FAX:086-231-3986
https://www.uro.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002079.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002289.000072793.html
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