2019年9月30日月曜日

【情報発信】「災害医療マネジメント学から見た災害シンポジウム ~平成30年7月豪雨被災後1年~」を開催

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科災害医療マネジメント学講座(鳥取市寄附講座 代表者:中尾博之教授)は8月11日、講座の開設1年を記念して「災害医療マネジメント学から見た災害シンポジウム ~平成30年7月豪雨被災後1年~」を岡山大学Junko Fukutake Hallで開催しました。岡山県下の医療従事者・行政関係者など約190人が出席しました。

本シンポジウムは、近年増加する災害に対してDMATをはじめとする救護体制の充実が図られるなか、縦割り体制から脱却してさまざまな体制・組織が責務を全うするための、災害医療マネジメント学の構築を図るために企画。中尾教授が平成26年に企画・開催したシンポジウム「国立大学病院と省庁の災害時における連携」の続編でもあります。

開会にあたり、同研究科の大塚愛二研究科長があいさつ。羽場恭一鳥取市副市長、金澤右岡山大学病院長が祝辞を述べました。

シンポジウムは2部構成で実施しました。第1部「災害医療を俯瞰する体制」では4人のシンポジストが登壇し、災害時における医療機関の防災体制、事業計画について討論。独立行政法人労働健康安全機構有賀徹理事長が地域におけるHealthcare BCPの重要性について、同機構の伊藤弘人氏が災害に強い地域づくりに寄与する災害拠点病院の第三者評価の動向について発表しました。東京都中央区保健所の山本光昭所長は、災害医療体制整備の経緯と今後の展開について、戸田建設株式会社竹村和晃氏は病院建築におけるBCP(MCP)についてそれぞれ発表。巨大災害に対応するために、地域単位での長期対策が必要になることでシンポジストの意見が一致し、各領域間のつながりを今後も構築していく仕組みとその評価方法の課題が指摘されました。

厚生労働省DMAT事務局の近藤久禎次長による記念講演もあり、「西日本豪雨対応について」と題して西日本豪雨災害での岡山県、広島県などの医療対応についての総括がなされました。

第2部「平成30年7月豪雨での災害医療を俯瞰する」では、岡山県における豪雨災害対応について、岡山県医師会の榊原敬理事、川崎医科大学救急総合診療医学講座の家永慎一郎氏、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科救命救急・災害医学講座の内藤宏道氏が、それぞれ自身の体験に基づいて報告。初期医療体制、保健医療調整本部での活動を振り返り、今後の災害医療体制のあるべき姿として、平時からの災害医療体制の在り方や多組織間での連携方法、災害医療モード発令のタイミング(意思決定)、外部への救援要請について課題の指摘と提案がなされました。

最後に中尾教授が「それぞれの人材・組織が能力を十分に発揮できる仕組みを、学問的視点から災害医療マネジメント学で探求していく」と抱負を述べ、閉会あいさつとしました。

【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科災害医療マネジメント学講座
TEL:086-235-7427



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