2020年11月19日木曜日

【情報発信】筋萎縮性側索硬化症(ALS)を新しい幹細胞で治療する! ~ALSモデルマウスにおけるヒトMuse細胞静注療法の治療効果~

◆発表のポイント

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスにヒト骨髄由来Muse細胞を経静脈的に投与することで、運動機能などにおいて治療効果があることを見出しました。
  • 静脈投与されたMuse細胞はALSマウスの脊髄に遊走・生着し、脊髄を構成する細胞に分化していました。
  • ドナーMuse細胞製剤(CL2020)の点滴による治験が心筋梗塞、脳梗塞、脊髄損傷、表皮水疱症、新生児低酸素虚血脳症で行われております。いずれもHLA適合や免疫抑制剤は不要です。今後ALS患者に対するCL2020点滴投与の治験を行い、新たな治療法として確立したいと考えています。

 

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の阿部康二教授と山下徹講師、東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授の共同研究グループは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスにヒト骨髄由来Muse細胞を経静脈的に投与すると、運動機能などにおいて症状進行抑制効果があることを発見しました。 これらの研究成果は10月13日、英国科学誌「Scientific Reports」のResearch Articleとして掲載されました。

ALSでは脳脊髄にある運動神経細胞が減少し続けて運動麻痺が進行する神経難病であり、根本的治療がないのが現状です。今回、ヒト骨髄由来Muse細胞を経静脈的に反復投与すると、マウス脊髄(特にこのモデルで傷害の強い腰髄)に遊走し、脊髄を構成する細胞に分化し、運動神経細胞脱落や運動機能低下を抑制する治療効果を確認することができました。

本研究成果は、進行する運動麻痺や呼吸筋麻痺に苦しむALS患者を救う新たな治療法開発につながることが期待されます。

 

◆研究者からのひとこと

ALSで苦しむ患者さんにむけて、新しい治療を提案できる可能性が出てきました。今後臨床応用にむけた治験を進める予定です。
阿部康二教授
実験当初、ALSモデルマウスは運動麻痺症状の進行が非常に早く、予備検討などが大変でしたが、今回ようやく成果が出て喜びで一杯です。患者さんに役立つ治療法に繋げるよう、今後とも頑張ります。
山下徹講師


■論文情報
論 文 名: Therapeutic benefit of Muse cells in a mouse model of amyotrophic lateral sclerosis
邦題名「筋萎縮性側索硬化症モデルマウスにおけるMuse細胞の治療効果」

掲 載 紙: Scientific Reports
著   者: Yamashita T, Kushida Y, Wakao S, Tadokoro K, Nomura E, Omote Y, Takemoto M,Hishikawa N, Ohta Y, Dezawa M, Abe K
D O I : 10.1038/s41598-020-74216-4

<詳しい研究内容について>
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を新しい幹細胞で治療する!~ALSモデルマウスにおけるヒトMuse細胞静注療法の治療効果~


<お問い合わせ>
【筋萎縮性側索硬化症(ALS)について】
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
教授 阿部康二
(電話番号)086-235-7365
(FAX)  086-235-7368


岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
講師 山下徹
(電話番号)086-235-7365
(FAX)  086-235-7368


【Muse細胞について】
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
(電話番号)022-717-7891
(FAX) 022-717-8187


東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野
教授 出澤真理
(電話番号)022-717-8025
(FAX)  022-717-8030

 


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id777.html

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