2020年12月7日月曜日

【情報発信】AIが見抜く「柿」の内情 ~「人工的なプロ」から学ぶ果実選びのコツ

◆発表のポイント

  • カキ果実の写真から果実の内部障害を高精度に見抜くAI技術を開発しました。
  • AIによる内部障害の判定率は、カキ選果の熟練者の精度を超えるものでした。
  • AIが「何を見て果実の内部を見抜いたのか?」を可視化し、「人には気付くことが難しい内部障害の指標や予兆」も明らかできるようになりました。

 

果実の「内情」― 種の個数・糖度・病害・いつ軟らかくなるか?などの性質― は、その果実の商品価値を決める重要な要素です。しかし、これらを果実の外見のみから見抜くのは難しく、何十年と経験を積んだ選果の熟練者でも容易ではありません。岡山大学大学院環境生命科学研究科(農) 赤木剛士准教授は、このたび、九州大学・京都大学・岐阜県農業技術センターの共同研究者とともに、今がシーズン真っ盛りの「柿」にAI技術である深層学習(ディープラーニング)を適用することで、ごく普通の写真1枚から果実の内部障害を見抜く技術を開発しました。

さらに、AIの診断理由となった画像中の特徴を可視化することで、人には気付くのが難しい内部障害の指標や予兆を早期に明らかにできる可能性を示しました。これらは、写真1枚から良質な柿の選別を簡易に行う事が出来る技術実装につながるだけでなく、果実における生理現象を非破壊的に予測し、その特徴部分に焦点をあてて解析できる研究技術にも直結します。

本研究で開発された技術は現在、柿の「種の数」や「早期の果実軟化」の予測、また、柿以外の果実や作物のDNA配列にも適用の可能性が探索されています。本研究成果は、Plant and Cell Physiology誌のオンラインアドバンス版に日本時間11月26日18:00に掲載され、同誌2020年11月号に掲載されました。

 

◆研究者からのひとこと

私たちの研究室では柿やキウイフルーツなどを使って、果実や花の品質に関わるさまざまな研究を行っています。主に、「作物の性決定」・「果実の形状や成熟機構の多様性」・「作物のゲノム進化」などを研究していますが、AI研究もさまざまな可能性を探索しており、画像からの診断・予測だけでなく、作物のゲノム配列への適用も試みています。興味がありましたらぜひ覗いてみてください。
赤木
剛士准教授

■論文情報
論 文 名:Explainable deep learning reproduce a “professional eye” on the diagnosis of internal disorders in persimmon fruit
掲 載 紙:Plant and Cell Physiology
著  者: Takashi Akagi, Masanori Onishi, Kanae Masuda, Ryohei Kuroki, Kohei Baba, Kouki Takeshita, Tetsuya Suzuki, Takeshi Niikawa, Seiichi Uchida, Takeshi Ise
D O I:https://doi.org/10.1093/pcp/pcaa111


<詳しい研究内容について>
AIが見抜く「柿」の内情~「人工的なプロ」から学ぶ果実選びのコツ


<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)
准教授 赤木剛士
(電話番号)086-251-8337


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id788.html


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