◆発表のポイント
- 新型コロナウイルス感染による妊婦や胎児への医学的影響が明らかでない中、2020年4月には日本生殖医学会は会員へ「不妊女性へ妊娠の先送りの説明を」との声明を出しました。
- 中塚幹也教授らの調査では、約35%の不妊症・不育症女性が、新型コロナウイルス感染拡大により「精神的に不安定になった」と回答し、約40%が治療を再考し、約15%は治療を延期していました。
- 約38%の不妊症・不育症女性が「年収が減少すると思う」とし、約60%が経済的不安を持っていました。また、約85%が経済状況は不妊症・不育症の治療に影響すると回答しました。
令和2年4月1日、日本生殖医学会は、新型コロナウイルスが妊婦や胎児に及ぼす影響が不明なこと、妊婦の重症化の可能性、治療薬が妊婦に禁忌とされていることなどから、会員に対して「国内でのCOVID-19の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者に提示するよう」声明を出しました。
しかし、不妊症、不育症(流産や死産を繰り返して子どもを持つことができない状態)の女性の中には、「コロナ禍の中で妊娠することが不安」と考える例もある一方で、年齢が高くなるほど妊娠率が低下し流産率が上昇することもあり「延期する時間はない」と悩む例も見られます。
このため中塚教授らは、7~9月に岡山県、広島県の生殖医療施設4施設においてアンケート調査を実施し、不妊症や不育症の女性の精神的な状態、経済的な困窮などの状況とともに、不妊・不育治療への影響や求める支援について明らかにしました。
調査結果から、正確な情報の提供、精神支援などを行う窓口の役割の重要性が再認識されました。また、不妊症カップルに対する不妊治療への助成の拡大、さらには、不育症カップルへの経済的支援も考慮すべきであると考えます。
◆研究者からのひとこと
「Withコロナ/Postコロナ時代に子どもを持つこと」は新たな重要課題です。中塚研究室では、多くの研究者や学生がリプロダクションやジェンダーについて研究しています。ホームページをご覧ください。 https://www.okayama-u.ac.jp/user/mikiya/ | 中塚幹也教授 |
<詳しい研究内容について>
不妊症・不育症の女性への緊急調査 新型コロナウイルス感染拡大の影響が明らかに
<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科 中塚研究室
教授 中塚幹也
(電話番号・FAX)086-235-6538
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id783.html
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